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2010年映画ベスト10(前編)

(2011年1月)


2010年を振り返って

3D映画がスクリーンを席巻した2010年が終わり、2011年がスタートしました。
昨年は、映画を観てはいるものの、なかなかコラムの更新が出来ず反省しきり…。2011年はたくさんの映画をおススメしようと誓った年初です。

その反省も込めて、2010年に観た映画のベスト10を考えてみました。今後、DVDレンタルをされる際のご参考になれば嬉しいです。

ベスト10からまずは5作品を

対象としては、2010年中に映画館で上映していた作品(邦画を除く)から選びました。よって公開日が2009年12月のものも含みます。順位は付けずに総合的にポイントの高かった10作品をおススメします。まずは前編として5作品をご紹介♪



【 トイ・ストーリー3 】

監督:リー・アンクリッチ  出演(声):トム・ハンクス、ティム・アレン
トイ・ストーリー3 メインP
©DISNEY/PIXAR
この作品は当コラムでも☆☆☆☆☆+として紹介させてもらいました。よかったらそちらもご覧ください。⇒映画ノススメ Favorite Movies「さよなら、おもちゃたち。」

あまりに気に入って…今作『3』を観た後に、シリーズ『1』→『2』をDVDで観て、もう一度『3』を映画館に観に行ったほどです。

高度なフルCG、特に今回は3D化された映像の滑らかさ、といった映像技術も素晴らしいのですが、なんといっても脚本が秀逸!思うに、大人から子どもまで誰もが理解出来て、なおかつ誰もが楽しめる内容の映画を作ることは、難解な凝った映画を作るよりずっと大変な作業ではないでしょうか。観終わった後、温かく、優しい気持ちになれる素敵な作品です。



【 インビクタス/負けざる者たち 】

監督:クリント・イーストウッド  出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン
ネルソン・マンデラ氏が南アフリカ大統領に就任し、自国開催のラグビーワールドカップを通じて人種間の融和を目指した、という実話をもとにした作品です。

実話をもとにした映画は、当然結果が分かってしまっている分、観客の心をつかむのは容易ではないと思うのですが…イーストウッド監督はそれをサラリとやってのけてしまう人ですね。ここ数年のイーストウッド作品には全くはずれがないと思うのですが、目下更新中です。

ラグビーW杯という熱狂するスポーツイベントを軸に、主演二人の自然な熱演(矛盾しているようですが)にエネルギー溢れるアフリカの雰囲気が加わって、ドラマ性は抜群!決して諦めずに真摯に努力することの素晴らしさを再認識させられる感動作です。政治不信や不況など暗い話題が多い今の日本には、こういった希望に満ちた作品が必要なのかもしれません。

余談ですが、私が映画館に観に行った時、隣には男女のカップルが座っていました。上映前は「俺はラグビーに興味はないのに…」と男性は付き合わされていることに不服そうな様子。ところが、終了後のエンドロール中、私以上に泣いていたのは隣の男性!館内の明かりがついたら「観に来て良かった。」とポツリ。ラグビーに興味がなくても十分感動出来ることうけあいです。



【 カールじいさんの空飛ぶ家 】

監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン  出演(声):エドワード・アズナー
最愛の妻を亡くし、思い出の詰まった家からの立ち退きを迫られた老人が、若き頃の妻との約束を果たすため、数千個の風船をつけた家で伝説の滝を目指して旅に出る、フルCGアニメーションです。

この作品の公開月は2009年12月でしたので、厳密には2009年作品ですね。ちょうど一年前には第82回アカデミー賞の作品賞と長編アニメ映画賞の両方にノミネートされて話題となりました。アニメーションが作品賞候補となるのは『美女と野獣』以来18年ぶりだったそうです。

今でもたまに「アニメなんて、いい大人が観るものじゃない」という声を聞きますが、そんな人にこそぜひ観てほしい作品です。最愛の妻エリーを亡くしたカールが、旅を通じてその喪失感と少しずつ対峙してゆく様を優しく丁寧に描いていて、デフォルメされたアニメーションなのですが、心の機微までが表現されていることに驚かされます。

同時に、伝説の滝を目指すというアドベンチャー要素が展開を盛り上げ、笑って、泣いて、ドキドキ出来るとても楽しい作品です。アカデミー賞のノミネートや受賞も納得!製作のディズニー・ピクサーは先の『トイ・ストーリー3』も含め質の高い作品を次々と生み出しています。この先もぜひ、こういった優しく、温かい作品を作り続けてほしいものです。



【 第9地区 】

監督:ニール・ブロムカンプ  出演:シャールト・コプリー
南アフリカに突如現れた巨大な宇宙船から地球に降り立ったエイリアンたち。彼らは“難民”として人間と共存生活を始めるが、その第9地区では争いや犯罪が増えスラムと化してしまう。超国家機関MNUはエイリアンを強制収容所へ移住させようとするが――

この作品は2009年度の賞レースにおいてダークホースとして大きな話題となりました。出演者がほとんど無名な上、監督はこれが長編デビュー作――『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで評価の高いピーター・ジャクソンが製作に関わっていると聞かなかったら、観のがしていたかもしれません。

いわば平凡な公務員である主人公ヴィカスが、エイリアンを強制収容所へ移すプロジェクトの責任者に任命されたことから人生が一変し、話が展開するのですが、彼の身におこるドラマをハンドカメラで追う映像と、ニュースやインタビューといったドキュメンタリー風な映像を組み合わせる演出がとても巧みで、まるでフィクションが現実になったかのような錯覚に陥ります。

また、汚くて醜い下等生物として描かれているエイリアンを人間が虐げる様は、外見や文化の違いだけで差別をすることの愚かさについて考えさせられます。舞台が南アフリカだけに、そのメッセージは痛烈ですが、そんな重いテーマもストレートな表現だけではなく、時にはコミカルであったり、シニカルであったりと、多面的な構成が絶妙。観終わった後に強烈なインパクトを残す作品です。



【 ヒックとドラゴン 】

監督:ディーン・デュボワ、クリス・サンダース  出演(声):ジェイ・バルチェル、ジェラルド・バトラー
バイキングの族長を父にもつ少年ヒックは、ひ弱で日頃は失敗ばかり。島がドラゴンに襲撃されたある時、偶然にも最強のドラゴンを打ち落とすが、傷ついたドラゴンを殺すことが出来ず仲間に隠れて介抱をする。ヒックは次第にドラゴンと心を通わせて行くが――

『シュレック』など個性的なキャラクターが印象強いドリームワークスアニメーション製作の作品ですが、これはイメージ一新!児童文学を原作にした正統派ファンタジーとして、楽しく柔らかな雰囲気にまとめられています。公開された時には3D映像が評判でしたが、それだけではなく、脚本も大人にも問いを投げかけるような素晴らしい内容です。

自分たちの生活を脅かすドラゴンに怒りといった負の感情しか持てず、そのまま武力で排除しようとする大人たちと、ドラゴン=敵と刷り込まれ、それを疑わない子供たち。そんな一族の中で、傷付いたドラゴン・トゥースと接したヒックだけが異論を唱えます。努力してお互いを理解し合えば共存出来る、と。

トゥースとの友情の芽生えから、偉大な族長である父とのすれ違いを乗り越え、バイキングとドラゴンの争いに決着をつける終盤はまさに感動的!本当の勇気とは、恐ろしい相手に戦いを挑むことではなく、その相手に歩み寄ることなのかもしれません。怒りでは負の連鎖が起きるだけ。世界各地で起きている現実の紛争を思い、考えさせられました。“子供にみせたい映画№1”という評に納得の作品です。



アニメーションの当たり年?

ベスト10前編の5作品の内、3作品が3Dアニメーションでした。3作品に共通するのは、大人も楽しめる優れた脚本と、実写映画に近い感覚が味わえる最新の3D映像技術が揃っていることです。

『カールじいさんの空飛ぶ家』に続いて、『トイ・ストーリー3』も第83回アカデミー賞の作品賞と長編アニメ映画賞の両方にノミネートされたことが、近年のアニメーションのレベルの高さを物語っているのではないでしょうか。実写映画もうかうかしていられないですね。

南アフリカの光と闇

実写の2作品は、偶然にも南アフリカが舞台で、人種(種族?)差別がベースとなっている点が共通していますが、作風は全く異なります。好みが分かれるところだと思いますが、どちらもぜひ観ていただきたい作品です。

ベスト10残りの5作品は次回コラムで♪
(dial M)

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