知っていますか
(2011年5月)
南極から? 地球が見えるって、宇宙からじゃないの?
いきなり突っ込まれそうですが、見えるんですよ、地球が! もちろん南極に立って、丸い地球が見えるわけじゃありません。でも地球がどんなふうに生まれ、どんな歴史をたどり、今はどうか、将来はどうなっていくのか――そんなことが見えてくるんです。
アデリーペンギンと筆者=2010年12月23日、南極で
初めて南極を訪れるまでは私も詳しくありませんでした。まず思い浮かぶのは、ペンギン?オーロラ?……。
2003年11月、南極へ出発する前はいろんな声をかけられました。
「シロクマに気をつけて」→それは北極!南極にはいないよ!
「犬ぞり使うの?」→今は動植物は持ち込めません。
「たまには郵便送るね」「緊急時は帰って来られるでしょ」→人も荷物も輸送は年1回、観測船しらせが1往復する時だけです。
苦笑しながら受け答えしていましたが、もっとすごいのが……
「越冬中の食べ物は狩りして捕るの?」。氷の大陸と氷の海で何を捕まえるの!?
観測しに行くんだぞ! さすがにこの質問には絶句しちゃいました。
これらはみな立派な大人の方々の言葉です。情報化社会になっても「わかっていそうで、南極は意外に知られていないんだ」と気づきました。
「そんな質問、私はしないよ」っていうアナタ、南極大陸って日本の何倍か知ってます?ちょっと悩みません?
見慣れた地図では下の方にべちゃーっとのびた姿。「どんな形だっけ?」と思われた方も多いのでは?
答えは37倍(大陸面積だけだと33倍)、アフリカの半分くらいあるのです。こんなに巨大な大陸なのに知られていないことがいっぱい、不思議と魅力があふれています。
45次南極観測越冬隊で1年4カ月、2009〜2010年に51次夏隊で4カ月、2度の南極取材で実感したのは「観測隊は南極を調べているのではなく、地球を見ているんだ」。
南極で見て聞いて、体感した地球の不思議を、毎月、このコラムで書かせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
(朝日新聞報道局記者 中山由美)
■ 著者プロフィール
千葉県生まれ。1993年入社。青森、つくば両支局、外報部、社会部などで勤務。
外報部時代、9・11同時多発テロ実行犯の生涯を追った長期連載「テロリストの軌跡」を担当した一人で、ドイツや中東を取材。2002年度の新聞協会賞を受賞。2003年11月~05年3月、女性記者として初めて南極観測隊に同行して越冬した。2009-10年に南極再訪、セールロンダーネ山地地学調査隊とともに40日間野外生活をして取材した。
著書に「南極で宇宙をみつけた!」「こちら南極 ただいまマイナス60度」、共著で「南極ってどんなところ?」「テロリストの軌跡」など。
■ ひとこと
第45次観測隊で1年4カ月南極で越冬。雪上車で1カ月かけて標高3,810m、零下60度のドームふじ基地へも遠征。グリーンランド氷床やヒマラヤ氷河も取材し、極地から地球環境を見つめます。バングラデシュの気象災害、無人島でのアホウドリ取材など、世界各地を歩いてきました。






