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地質で分かる「歴史絵巻」

(2011年6月)

津波が家をなぎ倒し、町をのみこむ生々しい映像は、まるでSF映画のよう。大震災は現実感をも吹き飛ばす衝撃でした。「動かざること山の如ごとし」なんて言葉もありますが、足もとをすくう激震に「大地は動くのだ」とすさまじい力を改めて思い知らされました。

南極大陸は氷に覆われ、一番厚い所は4,800メートルにもなります。でも沿岸や内陸の山地には岩場ものぞいています。そこは、石や地形を調べる研究者にとって最高の観測地。極寒のなかで草や木もはえず、土もなく、むき出しになっているからです。

地質でわかる「歴史絵巻」
地質調査する隊員たち= 2010 年1月12 日、南極で

氷原に岩の峰々が顔を出すセールロンダーネ山地、茶や黒、白の絵筆を大胆に走らせたような巨大な壁がそびえています。「抽象画みたい」と高さ数百メートルものキャンバスを見上げる私の横で、隊員たちは「マグマが入り込んで熱にさらされてる」「高い圧力を受けているね」……。

地質研究者にとっては「歴史絵巻」、何が起きたのか読み解こうとしているのです。「いつのこと?」
と聞けば、「11億〜4億5千万年前くらいかな。地下深い所で起きた跡だろうね」。大陸がぶつかったり、沈み込んだり、壮大な出来事が起きていたのです。

昭和基地近くの大陸沿岸ではインドやスリランカと同じ石がみつかります。ということは、昔つながっていた!超大陸ゴンドワナがあり、分裂して南極や南米、アフリカ、豪州などができて、今のようになったのです。地球のパワーはすさまじい!

今回の大震災、テレビが見られない昭和基地で隊員たちはインターネットに釘付けだったでしょう。電話やメールで懸命に家族や友人の安否を確かめたはず。日本まで1万4千キロ、観測船が来るまで1年、何があろうと帰れない隔絶世界、電話の向こうに手をのばしたくても何もできない、胸に詰まるもどかしさ――。

越冬していた頃をふと思い出しました。南極で暮らす厳しさより、ずっと重くのしかかるものだったと。
(朝日新聞報道局記者 中山由美)

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