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津波で氷崩壊?まさか!

(2011年10月)

「東日本大震災の津波が、南極大陸に達して棚氷が壊れた」。そんなニュースが先頃報じられました。発表したのは米航空宇宙局(NASA)。でも私は「まさか?」と信じられませんでした。そんなものいつだって壊れるからです。

「棚氷」とは南極大陸を覆う氷が海まで張りだしている部分。合計すれば日本の4倍もの広さがあり、夏でもとけず、その上に基地を建てることもできます。

NASAは衛星画像でとらえ「割れて流れ出した」と確認しました。それは間違いないでしょう。でも津波の到達後というタイミングの一致だけで津波の衝撃が原因なんて言える? 専門家にも論文を検証してもらいましたが、やはり「もっともらしいけれど、結論づけるデータがない」と
話していました。

棚氷は崩れる、氷山が流れ出す——それは何千年も何万年も繰り返しているのです。南極大陸に雪が降り積もり、氷となり、ゆっくり低い方へ、最後には海へ流れ落ちていくのです。

津波で氷崩壊

南極大陸から氷山が流れ出すところ

氷山って塩味だと思いますか?もとは雪で、海水が凍ったのではありませんから、塩味はしません。グラスに入れた氷山の氷がぷちぷちはじける音を思い浮かべた人もいるでしょう。雪が積もる時に閉じこめられた空気が気泡になって出てくるのです。何千年前の空気かもしれないし、何万年前かも。

地球温暖化が叫ばれ、「極地の氷はとけ始めているかも」と注目され始めた頃、氷山がガラガラ崩れ落ちる様子をテレビでよく目にしました。確かに暖かくなれば崩れますが、押し出されても崩れているのです。数十年に一度、数百年に一度かもしれません。

情報化社会で「もっともらしい」話はあふれています。専門家の意見もいろいろ。うのみにせず、立ち止まって考えてみてはいかがでしょう。
(朝日新聞報道局記者 中山由美)

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