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ASAで思い出す松坂大輔の痛み

(2010年4月)


ガタが来た?

久しぶりにレッドソックス松坂大輔が1面を飾った朝。ごあいさつにうかがった県西部のASA(朝日新聞販売店)の店主さんが心配していた。「松坂もガタが来たのかなあ。首や背中が痛いんでしょ」。確かに鉄腕のイメージが強かった松坂だが、昨年は原因不明の不調離脱、今キャンプは首や背中の張りで調整が遅れ、ようやく復帰のめどがついたところだ。

故障の反動で

昨年の不調は、春先の股関節痛をかばいながらWBCを投げ抜いた反動が原因だったと後日、自ら明かしていた。今年の場合は自主トレから好調だったが、キャンプ直前に強い張りが出たため慎重な調整に転じたための遅れだと、伝えられている。シーズンを棒に振った昨年の反省から、無理しない。9月で30歳を迎える松坂の決断だった。

10年前の真相

99年から3年間、甲子園春夏連覇をノーヒットノーランで飾った松坂がドラフト1位で入団した西武ライオンズを担当した。1年目の松坂は16勝を挙げ最多勝も新人王も獲得する活躍。さすが松坂。2年目は14勝を挙げたが、防御率は前年を大きく下回った。2年目のジンクス。そう書くのは簡単だったが、真相は後日知った。

湿布薬塗って

3年目のキャンプ中。本紙評論家の荒木大輔氏(現ヤクルトコーチ)と松坂の対談を企画した。前年キャンプに続く対談で、名前の由来にもなった大先輩との会話を松坂も楽しみにしていた。技術論を中心に盛り上がったが、笑みを浮かべながら松坂が打ち明けた。「肩が痛かったんです。湿布薬を肩に大量に塗ってから投げてました」。

痛みごまかし

ホットクリームを大量に塗ると、カーッと熱くなる。その感覚で、痛みをごまかしていたのだという。松坂についてはかなり取材していたつもりだったが、知らなかった。意外な真相だが、約10年ぶりに対談記事を検索してみたが、その記述はない。それも不思議なのだが、今、事実を明かそう。2年目の松坂は肩痛の中、14勝を挙げたのだった。

高熱の中でも

思い返せば、怪物松坂も若いころから体調不良や故障を抱えながらマウンドに上がり続けていた。1年目も救援登板して汗がひかないうちに冷房の効いた新幹線に乗り、2日後の試合は高熱の中、7回まで力投。直後のシドニー五輪予選で完投勝ちしたこともあった。長期離脱したのは4年目だけ。裏を返せば、ごまかしながらでも、結果を残せてきた。

30代を目前に

そんな体の強さや調整能力で10代、20代は通用してきたが、30代を目前に松坂自身が無理をすること、ごまかすことが、選手生命を断ちかねないことだと気付いたのかもしれない。そんなことをつい、ASAの事務所で力説すると、店主さんはポカンとした表情を浮かべていた。

今年はやる!

「結論として人間太ったら終わりです。僕に言われたくないですよね」。つい熱くなった自分をごまかすように、自虐的なつまらない冗談をとばした。「太りすぎ」の言葉に過剰に反応しすぎたかもしれない。ただし、ここではごまかさずに書いておこう。出遅れたものの、今年の松坂はやるよ!そう信じている。
(日刊スポーツ静岡支局長 久我悟)

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