92歳の母。「また君に恋してる」
(2010年12月)
ビリー・バンバン
労務管理があまり得意ではない。時々、公休消化を意識しすぎて、6人しかいない支局員を5人休ませたりする。現場には自分が行けばいい。そう思って向かった先にいたのは、ビリー・バンバンのご兄弟。「白いブランコ」が大ヒットしたのは69年。若い支局員が多い中で年齢的に「リアルタイム」なのは43歳の私だけ。それでも当時2歳なんだけどね。
坂本冬美がカバー
あれ、紅一点Oさんは知らないんですか?「知らない」と言い切っております。「白いブランコ」はフォークの定番。だれもが、必ず耳にしたことのある名曲だ。そのご兄弟がにわかにクローズアップされている。3年前に「いいちこ」のCM曲として発売した「また君に恋してる」を坂本冬美がカバーして大ヒットしたのだ。
軽妙に語る兄弟
来年1月30日に静岡市民文化会館でコンサートを行う2人は、このほどPRのため来静し、インタビューの場が設けられた。もともと「また君」は兄弟と同じ50~60代の夫婦の絆を歌ったが、最近は冬美と同じ40代の女性が公演に多く駆けつけるという。弟の進が「40代、どんどん来てほしい」と言えば、「限定するな!」と兄の孝が切り返した。
亡き父の言葉を守り、兄弟仲は抜群のビリー・バンバン。菅原進(左)と孝
父親が残した言葉
歌えばドラマチックな2人なのだが、フリートークはとどまるところを知らない。スタッフがなんとか公演と新曲をPRさせようとするのだが、なかなか軌道に乗らない。ただ、芸能記者を経験した私にはありがたかった。ベテランの話には必ず、奥の深さがある。すると、おとぼけを続けていた進が91歳で他界した父親と、92歳で健在の母親の話を始めた。
しみじみ思う母親
晩年の父親は、兄弟に数少ない言葉を残したという。「兄弟仲良くしろよ」と「お母さんを大切にしてくれ」だった。やさしい父親を亡くすと、母親は一時、力を落としたが、92歳を迎えた今は、「進、体を大事にしてね」と電話してくるほど、元気だという。そして、しみじみ口にしたのは「お父さんに会いたいなあ」。
それぞれの「また君」
「『また君に恋してる』なんだねえ」。90代を迎えても、死別しても、恋心も夫婦の絆は残る。一方で、若い男性がかつて別れた女性への未練を歌ったのだと、曲を解釈することもあるという。「曲が広まれば、いろんな年代に、いろんな感じ方をしてもらえる」と孝が喜んでいた。
紅白は辞退したよ
92歳の母親の話をもう1つ。母親は兄弟がかつて出場したNHK紅白歌合戦に復帰する日を楽しみにしているという。孝は「だから『辞退したよ』って言うんです。そうすれば、来年また楽しみにしてくれる。92歳の生きる力になるんですよ」。「白いブランコ」から「また君」まで、歌声ににじむやさしさの意味が分かった。
(日刊スポーツ静岡支局長 久我悟)
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